万博に行ってきました
Category:
スタッフブログ

こんにちは。
「好きなものに囲まれて、生きていく。」- 神戸で住宅と暮らしをデザインするG.CRAFTの鈴木です。
9月上旬、子どもを連れて閉幕間近の万博へ行ってきました。
もう予約が取れないと聞きますが、私が行った時はギリギリセーフだったのか
夕方入場のチケットでスムーズに入場できました。
私は2度目だったのですが、「人が多すぎて子供は楽しめないかも」と決めつけていて
子供を連れて行くつもりは無かった万博。。
もっと早く連れて行っておけばよかったと後悔するほど子供は楽しんでいたので
その時調べてわかったことを少しシェアさせて頂きます☆
テーマパビリオンはもちろんですが、
会場をぐるりと囲む「大屋根リング」の迫力に圧倒され、様々な仕掛けや世界各国の人々に子供たちはワクワクが止まらない様子。
「海の上にも建設されているの?」「なんで大屋根っていうの?」「木は切っちゃダメって言われてるのに、なぜこんなに木を使うの?」と好奇心いっぱい・・
答えるのに四苦八苦する私。。
色々な質問を受けながら歩いた時間は、親としても、そして工務店の広報としても刺激的でした。
大屋根リングとは?
大屋根リング(Grand Ring/大屋根環)は、万博会場の象徴的な存在で、パビリオン群を包み込むように取り囲む環状の屋根構造です。
大屋根リングを設計した建築家で会場デザインプロデューサーの藤本壮介氏は、「今は世界中で『分断』が進み不安定な情勢が続いているが、万博は世界が一体となる機会」とし、リング内には世界各国のパビリオンが入り『世界がつながる』というメッセージを込めてデザインされたそうです。
建築面積:6万1035.55平方メートル
全周:約2025m
高さ:低い所で約12m 高い所で約20m
費用:約350億円
ギネス世界記録にも認定されており、「世界最大の木造建築物」として登録されています。
これだけ大きなスケールの“木の屋根”に囲まれて歩くという体験は、日常生活ではまず得られない感覚ですよね。
若い頃に旅行した、ニューヨークのマンハッタンにある、全長2.3Kmの空中庭園”ハイライン”を思い出しました。
かつて路線だった高架を利用して建築された、ハイラインはニューヨーカーの憩いの場として愛されています。
何とも清々しく、歩くだけで楽しい。
上から見下ろすパビリオンは地上では発見できないメッセージがあったりして子供たちも飽きずに歩くことが出来ました。
例えば、セルビアには”Servia is your next EXPO destination” セルビアはあなたの次の万博目的地です。
と書かれたメッセージが見られたり、
スペインの階段は、上から見ると違った見え方をしていました。
構造・素材のこだわり
構造と素材にまつわるポイントをいくつかご紹介します。
使用木材は国産(スギ、ヒノキ)が約7割、外国産(オウシュウアカマツ等)が約3割で日本の神社仏閣で使われてきた「貫(ぬき)接合」などの伝統的な木造技法を、現代工法と組み合わせて構築しています。
大屋根リングは非常に大きいため、「竹中工務店等」「大林組等」「清水建設等」の大きく3社で分担して建築されたましたが、
3社それぞれで実は会社ごとに工法の“微妙な違い”があるそうです。
連結している分岐点をよく見てみると、
建物の強度を高める「貫(ぬき)」と呼ばれる工法に用いる楔(くさび)が
竹中工務店などは木製と金属製の楔、清水建設などは木製、大林組などは形にこだわった金属製を使用するなど、三者三様で異なっていて、その違いを発見すると楽しいです。
こうした構造部分は、一般の来場者には見えにくい観点ですが、
せっかくの芸術的建築に触れる機会ですので、注目して見てみると面白いですよね。
子供の疑問 – 環境問題について-
息子の疑問だった環境問題。「木は切っちゃダメなのになぜ木が多量に使われているの?」という問いについて私なりに調べました。
国産のスギや桧をふんだんに使用した大屋根リング。
実は近年、戦後植えられたスギ・ヒノキが増えすぎて、山が荒れていく一方だったそうです。
こうした木々を活用することは、山の保全に役立つので、たくさんの木々を使用することが決して「悪」ではないことを知りました。
このような国家的なプロジェクトで一気に需要が生まれるのですね。
感心したのが、大木でなくともこうした国産の木を製材し、あれ程巨大な建築物を作り上げる技術力はすごいと思いました。
ただ、再利用の観点では
集成材として手を加えた大屋根リングの木々は、接着剤を使用しているので、なかなか議論が進まない現状があるそうです。
再利用・保存をめぐる議論
大屋根リングについては、「万博終了後、どう扱うか」が大きな焦点になっています。
当初計画:解体 → 更地返還
万博会場の契約上、会期終了後は敷地を更地に戻し、土地(大阪市など)に返すという決まりがあるそうです。つまり、パビリオンやリングは原則として解体される予定でした。
このため、「期間限定」の建築物として設計されていたため、解体を見据えた施工技術が導入されており、保存性を重視した設計はされていなかった様です。
2. 保存・部分利用の動き
ですが、万博を訪れ、感銘をうけた人たちの「残してほしい」「体験できる形で保存してほしい」という声が大きくなったことを受け、
北東200メートルを保存し、市が周辺の3.3ヘクタールを公園・緑地として整備し、大屋根リングへ登れる状態で保存する方向へ進んでいるようです。
記憶に残っているかは分かりませんが、子どもが大きくなった時、来たことのある場所として思い出してくれたら嬉しいなと思いました♪