2025年度 住宅省エネキャンペーン【補助金】最新情報
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お知らせ
こんにちは。神戸でこだわりのリノベーション・注文住宅ならG.CRAFTの鈴木です。
2年前から実施されている国交省・環境省・経産省の三省合同補助金【住宅省エネキャンペーン】の2025年用の概要が、
昨年11月末に発表されました。
インスタグラムに簡易版を投稿したので、こちらで少し詳しくご説明します。
1. 事業の背景と目的
まずは本事業の目的から見ていきます。
『エネルギー価格や物価の高騰の影響を特に受けやすい子育て世帯などに対して省エネ住宅の導入を促し、既存住宅についても省エネ改修等への支援を行い、質の高いストック住宅を増やす』ことを目的としています。いずれも住宅が対象となっていて、店舗や社屋、倉庫などは申請出来ません。
前提として子育て世帯ではなく、全世帯が申請可能な補助金もあります。
2050年カーボンニュートラルの実現に向けて家庭部門の省エネを強力に推進するため、住宅の断熱性の向上に資する措置や
高効率給湯器の導入など、新築住宅の省エネ化や、既存住宅の省エネリフォームへの支援を強化することが必要という取り決めがあり、その実現のための施策です。
国土交通省、経済産業省及び環境省3省の連携により、「省エネ住宅の新築を支援する補助制度」、「既存住宅の省エネリフォームを支援する補助制度」のそれぞれについて、各事業を組み合わせて利用すること(併用)が可能ですが、
新築住宅は2025年4月から断熱性能の担保が義務化され、その先も2030年に現在のZEH水準の省エネルギー性能の確保が義務化される予定です。
2.例年とどう変わった?
先述した2030年に現在のZEH水準の省エネルギー性能の確保が義務化される予定へ向けて補助金の対象に求める性能が段階的に引き上げられています。
後で詳しくご説明しますが新築住宅向けの枠組みにさらに上位のランクが設定され、逆に昨年度と同じ性能だと貰える補助額が抑えられています。
リフォームについても補助金の上限金額こそ変わっていませんが、対象必須工事3種類の内の「どれか1つは必須」だったのが「2つ以上必須」に変わっています。
本制度の要件には入っていませんが、他の補助金だと耐震性の確保が必須要件だったりするものも多く、
それを思えばまだ利用しやすいのですが、やはり徐々に厳しくなっていっていると思われます。
3. 申請の期間
三省合同補助金の事業全体に関わる概要として、申請期間を確認していきましょう。
申請の条件や対象工事はそれぞれの事業で異なりますが、
全体的に、閣議決定された『2024年11月22日以降に対象工事に着手したもの』が対象となります。
対象工事とは新築であれば「基礎工事より後の工程の工事」で、具体的には土台敷きや棟上げなどが当てはまります。
リフォームの場合は「リフォーム工事に着手」となるので、解体作業を始めたりするのが2024年11月22日以降ということになります。
そして申請期限は昨年と同じく年末までということで2025年12月31日までになります。
実際に申請出来るのは例年通りなら3月下旬か4月の頭ですが、それまでに着手・完成した工事であっても、上記の条件に当てはまっていれば申請対象になります。
契約時期は不問という点も昨年度と同じです。
4. 子育てグリーン住宅支援事業【新築】
それでは個別事業の概要について見ていきます。
まずは新築の場合です。
すべての世帯が申請できる『GX志向型住宅』という上位ランクが追加
18歳未満の子を有する「子育て世帯」又は夫婦のいずれかが39歳以下の「若者夫婦世帯」に限って申請が出来る『長期優良住宅』と『ZEH水準住宅』は据え置きとなりました。
しかし、昨年度はZEH住宅で80万円が基本だったのに対して最大60万円/戸となっています。
『GX志向型住宅』は断熱と省エネの上位ランクまで到達させる住宅に対する補助です。
GXはグリーントランスフォーメーションの略で、化石燃料を出来るだけ使わず、クリーンエネルギーの活用に向けた変革や活動のことです。
「ZEH水準」を超える「ZEH+水準」というものは以前から基準の1つとして知られていましたが、それをさらに上回る基準を作って、そこまで到達して欲しいという意図で設けられたものだと考えられます。
『ZEH水準』は、断熱等性能等級5以上 かつ 一次エネルギー消費量の削減率20%以上削減 という基準ですが、
今回の『GX志向型』の基準は、
断熱等性能等級6以上 かつ 一次エネルギー消費量の削減率35%以上削減 という、今までよりもかなり高い水準となっています。
加えて太陽光発電等の再生可能エネルギーによる一次エネルギー消費量の削減も必須で、
削減率100%、つまりZEHの達成が要件となっています。
『DRに対応したリソース導入拡大支援』という新たな枠組みが新設
DR(ディマンド・リスポンス)とは電力需要を制御することで電力需給バランスを調整する仕組みで、機能が組み込まれた蓄電システムに対して支援があるようです。
これは三省合同補助金としては完全に新しく増えたものです。
『長期優良住宅』と『ZEH水準』という昨年度から引き続きの2つについても条件によって補助金額が変更
昨年度は『長期優良住宅』の申請は一律100万円だったのですが、
「建替え前住宅等の除却を行う場合」に限って100万円の補助額で、建替えに当たらない場合は80万円の補助額に減っています。
『ZEH水準』も同様に、昨年度は一律80万円の定額でしたが、
「建替え前住宅等の除却を行う場合」に限って60万円の補助額で、
建替えに当たらない場合は40万円の補助額となっており、昨年度に比べると半額になりました。
「建物の除却がいつ行われたのか」という期間も要件に入って来る能性もあります。
5. 子育てグリーン住宅支援事業【リフォーム・リノベーション】
続いてリフォーム工事の場合についてです。
まずは国土交通省の補助事業から見ていきます。
三省合同で行われる補助事業の中でも躯体の断熱・省エネ住宅設備機器・子育て対応改修・バリアフリー改修などが含まれています。
また、高性能な窓やドアは基本的に後述する『先進的窓リノベ事業』の対象に、高効率給湯器は『給湯省エネ事業』の対象にするのですが、
窓リノベ事業や給湯省エネ事業の対象にはならない少し低いグレードのものもこちらは申請出来る場合があります。
前述したとおり、昨年度は必須工事3種のうち1種を実施していれば申請できたのですが、2025年度では2種以上が補助要件となっています。
また、3種全て実施すると補助額の上限を増やせるという位置づけです。
なお、必須工事は「開口部の断熱改修」「躯体の断熱改修」「エコ住宅設備の設置」の3種で、
ワンストップで『窓リノベ』に申請を出している場合は「開口部の断熱改修」を、
『給湯省エネ』に申請を出している場合は「エコ住宅設備の設置」を行っているものと見なしてくれます。
1つ1つの対象工事や補助金額は明らかになっていないので現時点では上限しか分からないのですが、工事対象は殆ど変わらないと予想されます。
そしてここ数年の傾向としては申請出来る条件が厳しくなる代わりに工事1つ1つの補助金額は若干上がっていることが多いです。
一方で補助単価が上がることで、申請出来る下限に達することが容易になり、高額な全面リフォームではなく部分リフォームでも使える可能性は高くなっているかもしれません。
例年の実績から言えば省エネ基準での断熱の補助額を貰えなくなるマイナス面の方がかなり大きいです。
6. 先進的窓リノベ2025事業
例年好評だった『先進的窓リノベ事業』が今年度も継続されます。
上限は200万円と過去2年と同じまま。三省合同補助金の中で最大の補助額となっています。
初年である2023年度は内窓設置の需要が一気に高まってYKKAPや三協アルミなどのサッシメーカーさんがパンクしてしまったのですが、昨年度は割と落ち着いたままでした。
こちらは補助金額の単価も発表されているので、確認してみましょう。
サッシやガラスの性能をグレードで分け、さらにサイズで大・中・小に分けるという内容です。これはスタートした2年前から変わっていません。
性能がSSとSになる基準がまだ出ていませんが、グレードAがUw=1.9以下となっていて据え置きなので、おそらくSSとSも変わっていないと思います。
昨年度と比べるとガラス交換と外窓交換は工法に関わらず単価は変わっていませんが、内窓設置の補助額が昨年度よりも少し下がりました。
7. 給湯省エネ2025事業
高性能な給湯設備に対する補助です。
昨年度は補助単価が上がって利用するメリットが増えた結果、早く予算消化が終わってしまいました。
こちらも窓リノベと同じく2年前から始まった、高性能な給湯設備に対する補助です。
まずは基本となる高効率給湯器の補助額です。
対象製品は
①ヒートポンプ給湯器(エコキュート)
②ガス・ヒートポンプのハイブリッド給湯器
③家庭用燃料電池(エネファーム)
の3種類です。
それぞれに『基本額』という設定があり、それに加えて高機能な機種であれば加算を受けることができます。
A要件・・「昼間の余剰再エネ電気を活用でき、インターネットに接続可能な機種」と規定されています。
インターネットから天気予報などの情報を仕入れて、電力消費のピークをずらして湧き上げ時間を調整したり出来る機種が対象となります。
B要件・・「補助要件下限の機種と比べて、5%以上CO2排出量が少ない機種、または、お日さまエコキュート」が該当しています。
純粋に省エネ性能が高い機種か、お日さまエコキュートか、ということです。
C要件・・エネファームのみに適応されるものとなっており、内容は「ネットワークに接続可能で、停電が予想される場合に、稼働を停止しない機能を有する機種」となっています。
自然災害などで停電してしまうような事態に陥っても、停止せずに動き続けて非常用電源として使える機種には加算されると考えれば良さそうです。
それぞれの補助額ですが、3種類全てで基本額が昨年度よりも下がっていますが、加算条件を満たす高性能な機種については加算された合計金額が昨年度と同じになるという設定です。
とりあえず対象になる、という性能の機種だと昨年度に比べてメリットが小さくなりますが、何かしらの加算要件を満たす機種であれば昨年度と同じ補助額を受けられます。
これに加えて『撤去加算』という制度があります。
『給湯省エネ事業』の対象となる高効率給湯設備の導入と一緒に行う「一定の機器の撤去」に対して補助が出るという内容で、昨年度から引き続きとなります。
その加算額がコチラです。
昨年度の撤去加算は蓄熱暖房機が10万円/台、電気温水器は5万円/台だったので、こちらも少し下がっています。
古い電気製品は燃費が悪くてかなりエネルギーが必要なので、なるべく使わないで欲しいというのが政府の意図です。
昨年度はこの撤去加算が別枠として予算が組まれていたのですが、11月18日に予算が終了となっており、好評だったことが伺えます。
もし現在のお住まいで電気温水器をご利用の方はエコキュート等に買い替えるチャンスかもしれません!
8.まとめ
✓今までの建物性能では、新築においては補助金額が下がってしまうケースが多くありそう。
✓特にリフォーム・リノベーションを考えている方には大変お得な制度だが、必須工事が2種以上が要件となった。
✓窓リノベは例年と補助要件に大きく変わりはないが、内窓設置においては補助額が少し下がった。
✓全体的に申請出来る条件が厳しくなる代わりに工事1つ1つの補助額は若干上がっている。